第2話 使えない茶碗?

  もし、あなたが誰かに叱って欲しい!誰かに説教してもらいたい!と
思う少しマゾな人は抹茶碗を作る事をお勧めする。
万が一、唐九郎と見た目違わない茶碗をがんばって製作したとしても、
十分説教の対象になる事間違いない!高台の無い茶碗なんかを
作ろうものなら、快感になるまで叱ってもらえる!

  私事ではあるが、個展会場で「お茶をやっている」というご婦人に
「あなたの茶碗は面白いけど茶席では使えない!」と
まるで怒られているみたいに言われた事がある。
「使えない」・・とはどういう意味なのか、
「面白いのならどうして?」
頭の悪い私はすぐに答えを出せずに、もんもんと考え込んでしまった。

  まあご婦人の言わんとしている事は、
茶碗としての約束事の事か?
私が無名作家でしかも今までに見たことも無い茶碗だからか?
著名な家元の箱書きがないから?
それとも私の作品が無茶苦茶ひどかったのだろう!
しかし、逆説的に考えてみると茶碗というのはそれらの条件を
クリアしないと茶碗とは呼べないのだろうか?
答えは当然「NO」のはずだ!

  私が思うに茶席で使えないお茶碗というのはこの世には存在しない!

  ご婦人のご意見を私なりに解釈すると
「あなたの茶碗は面白いんだけど、もし茶席で出したら、
色々とご意見が飛んできて、まるっきり私がお茶碗を知らないなんて
言われるのちょっと勘弁してほしいのよ!」・・ってところだろう。

  先日、ある人にぐいのみを見せられ「どうですか?」と
尋ねられた事がある。
「なんか教室の生徒でまだ陶芸に手を染めて日が浅い人の作品かな?」と
思っていたらなんと有名な陶芸作家の方の作品だった!
有名人の作品と聞くと「へ〜」と言ってもう一度見直してみる。

  もうお分かりだと思うが、茶碗も同じ事が言える。
はじめにこれは「有名な先生の茶碗です」と言うと皆、
少々茶碗の約束事からはずれていたとしても口をそろえて
「いい仕事してますね〜!」なんて言うはずだ。
しかし
「失礼しました、今のは間違いでウチの亭主が趣味で作ったのでした」
なんて事になったら、使える、使えないなんて、そもそも無いのと
同じ事なのでは?

  作品の価値はあくまで自分が好きか嫌いかに尽きると思う。
  もちろんブランド名で選ぶのも自由ではあるが!

   
2000年1月15日
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