第8話 定収入

  多くの自由業の人は「定収入」と言う言葉とは無縁だ。
「ボーナス」「有給休暇」「退職金」という言葉もテレビや新聞から
聞くだけで、少なくとも私には無縁の言葉だ。私の場合、月収ではなく
年収と言う単位で生活生計を立てている。
月収だと限りなく¥0に近いという事もよくある事なのだから・・・

  陶芸作家としてだけで食べていく前は、私は給料をもらっていた。
親父の仕事を手伝っていたからだ。「ボーナス」もあった。
日、祭日も暦通りに休ませてもらっていた。決してたくさんもらっていた
訳ではないが、決まった給料はもらえる。会社が儲かっていようが、
いまいが決まった額の給料だから、給料内で生活している分には
何の心配もない。

  現在は純粋に私の作った作品を売って生計を立てている。
いわゆる「独立」である。主に個展を開催し作品の売上によって
収入を得ている。当然、定収入ではなく売上によって収入は変わってくる。

  ただ、不思議と安定している給料をもらっている時より、この限りなく
不安定な収入の方が面白いのである。なぜか、財政的にピンチの時に限って
必ず助け船がやってきてくれるのである。公募展で賞金が入ってきたり、
日頃お付き合いの無い方から注文を頂いたり、日頃売れないオブジェなどが
売れたり、自動販売機に釣銭が取り忘れてあったり・・・
実に不思議にも毎回こうやってピンチを脱出してきた。

  だからと言ってただ良い話が転がり込んでくるのを、
ぼんやり待っているわけではない。がんばり無くして結果は望まれないし、
運もついてこない。最近がんばった結果としての実感が少しずつではあるが
湧いてきている。決して目に見える程ではない。なんとなくである。

  がんばった結果として収入が多いにこした事はないが「定収入」より
今は「低収入」の方が私は面白い? 
                               
2000年3月15日
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