<< 第29話 用途 | main | 第27話 陶芸家の女房 >>

第28話 学校では教えてくれない事

  陶芸を勉強したければ専門校や陶芸教室に行けば色々と
学ぶ事ができる。土の事、造形の事、釉薬の事、焼成の事
・・・基本的な知識や技術から専門的な事まで一応に学ぶ事ができる。

  卒業する頃には、相当な陶芸の技術や知識を身につけていると
思われる。私自身は陶芸の専門的な教育を受けなかったので、
陶芸の学校の内容はよくわからないが、友人に専門校を出た人がいるので
その人の話からだいたいの内容を知る事ができる。

  しかしながら卒業生の全員が陶芸関係の仕事についているかと
いえば・・・そうではない。

  理由はいろいろあるだろう。学校では教養の範囲で陶芸を勉強した人も
いるだろう。中には陶芸家になりたいのだが、窯を買ったり、
道具を買ったり、場所がなかったりの理由で、とりあえず他の仕事に
ついている人も多いと思う。

  昔、「大学を出たけれど・・・」というフレーズがあったが、
「陶芸を学校で勉強したけれど・・・」というフレーズも悲しいかな
真実味を帯びている。

  学校では教えてくれない事・・・しかしながら一番重要な事。
それは陶芸で生活して行く方法だ。

  いくら知識や技術があってもそれだけでは生活して行けない。
その技術をいかして生活する方法、製作した作品等を売って生活する方法を
知っていないと先へは進めない。

  もし陶芸家になりたいのに、やはり躊躇する人はやはりその事が
ネックになっていると思われる。

  実は作品を作る事も確かに大変だけれども、もっと大変なのは
作った作品を売る事なのだ。どうやって作品を売るのか?
これは大問題である。

  極端な話、この事の方が学校で教えてくれる事よりはるかに
重要であるし、学校で勉強した事もこの問題を解決しない限り、
効果を発揮しない。

  私の場合この世界に入って15年ほどになるのだが、
始めは問屋さん相手にカタログの商品や一品商品などを作り、
それを買ってもらって生計を立てていた。
それも父が陶芸をやっていたのですんなり、陶芸の環境に入る事が
できたが、何もないところから窯や道具類を揃えるとなると実に大変で、
もし父がやっていなければたぶんこの世界には入らなかったと思う。

  だから他の若い作家から「熊本君はボンボンだ!」
と言われたりもした。そうなのだ。何もない所から陶芸を志す人から
見ればあまりにも私は恵まれている。しかしながらそういう環境下でも
作品を売って生活して行くという事はまた別の話だ。

  窯や道具類があったところで、作った作品が売れて行かなければ
ボンボンも何もないのである。

  今、私は京都の業者(画商)さんとのお付き合いがあり、
色々な場所で個展活動を中心に活動させていただいている。
今の状況になるまでに15年の月日が流れた

  人それぞれ生き方があり、それぞれの作品の売り方があるだろう。
しかし学校の授業の中に陶芸で生活してゆく方法を教える授業が
あってもよさそうだ。

  なぜなら、この教えてくれない事こそ
一番大事で肝心な事なのだから・・・

2000年10月15日
Categories
Links
Search this site.
Others
Mobile
qrcode
Powered by
30days Album
無料ブログ作成サービス JUGEM