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第16話 プラス志向 

  「プラス志向」すなわち、全ての物事を前向きにとらえる姿勢である。

  正直言って私はどちらかと言うと「マイナス志向」である。
決して自慢できる事ではない!昔から何かと心配性で修学旅行の
前の晩には、必ず集合時間に遅れる夢を見ていたし、いくつもの個展を
開いてきた今になっても、個展に作品が間に合わなかった夢や、
売上がゼロの夢をよく見る。実に情けない。

  こういう事は産まれもった性格なのか、育ってきた環境が
そうさせるのか?いずれにせよ「プラス志向」とは程遠い性格だ。

  作陶する時でも、せっかく良いアイデア、もしくは作品のイメージが
浮かんでも、まずは問題点から探って行く。「このフォルムはとっても
良いんだけど、たぶん乾燥段階で割れてくるだろうな〜」
「運良くうまく乾燥できてもたぶん焼成にこの形や大きさでは耐えられないだろう」
・・・てな具合だ。

  とにかく悪く考え出すときりがない!本当にきりがないのだ。
ひとつの作品を仕上げるまでの問題点を上げ出したら100でも
足らないだろう!

  一昔前、あまりの心配性に体を壊した事がある。
これまた自慢できる事じゃない。プラスを小さくマイナスを大きく
とらえる癖は時に体の調子まで悪くしてしまう。

  それで「このままではいかん!」と言う事でほんの少しだけ
「プラス志向」に転じてみた。

  「次回の陶芸ビエンナーレ展では必ず入賞する!!」と会う
陶芸仲間や友人みんなに豪語したのだ。
カミさんにも「そんな事言って、落選でもしたらカッコ悪いよ!」と
釘をさされる始末だった。

  今から考えると、そんな事は別にプラス志向ではなく、
自分の心配性解消のための暴挙だったのかもしれないけど、
結果はグランプリ受賞だった!

  それからは、極力良い方向に物事を考えるようにした。
それは心の奥底からそう思わなくても、表面上だけでもいいのだ。
(マイナス志向なので心の奥底からなんて到底無理だ!!)

  顔も態度も自信満万!!!

  「公募展では必ず入賞する!」
  「自分の作品は良い!」
  「売上はいつもコンスタントに心配げなく売れて行く!」
  「将来は日本を代表する作家になる!」
  「俺はモテルかも!?」
  「将来、宇多田ヒカルと友達になる!!」(おいおいっ!)

  ・・・本当の自分は全くそれとは逆の気弱い人間なんだけど・・・

  そんな表面上の態度でも長年続けていると、何時の間にか
そちらの自分が本当の自分になるような気がしてならない。
今ははったり、ごまかしなんだけど・・・

2000年6月5日
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