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第6話 誰だったかな?

  私は人の名前を覚えるのが苦手である。
もうこれが見事というくらい覚えられないのである。
別に覚える気がない訳ではない。ただただ覚える才能がないのである。

  一番困るのは個展の時だ。
お客さんは私の事をしっかり覚えていてくださる。
大変光栄で嬉しい事だ。しかし、私がお客さんを思い出せないのである。
個展会場によっては2年間も間が開いている。

  毎回、個展には毎日多くの方が訪れてくださる。
もちろん遠方での会場では100%にちかい方が、初対面の人である。
色々と作品の説明もさせていただき会話もしてその時は、しっかり
覚えている?のだが、次のお客さん、その次のお客さん・・・と
新しい記憶が入ってくると「ところてん」のように、古い記憶が順番に
外に排出されるのである・・・まるでメモリーの容量の少ない二昔前の
コンピューター部品のようだ。

  特に似た苗字には毎回困惑してしまう。
「石崎さん」「石垣さん」「稲垣さん」等。
誠に申し訳ないが何回も覚えようと努力してもダメである。
特に個展会場で「私の事、覚えてますか?」と言われた時には
顔面蒼白である。本当に逃げ出したくなるのである。

  こうも記憶力が悪いと、いくらごまかしていても、
ごまかしきれなくなる。さすがに最近はお客さんに正直に
「すみません、お顔とお名前の記憶が・・・」と言って
前回買って下さった作品の話題などから遠い記憶を引き出すように
している。もちろん個展の前には前回のお客さんリストで予習をして
行くのだが、お客さんも前回と同じ髪型、同じ服、同じ体型ではない。
いい訳するわけではないが、髪型や服装が変わると本当にわからない
ものである。

  個展会場でもし私が作り笑顔をしていて、なんとなく困った風な
雰囲気だったらたぶん頭の中ではこんな事を考えている時です。
「誰だったかな?」「誰だったかな?」「誰だったかな?」

2000年2月25日
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